名古屋高等裁判所金沢支部 昭和33年(う)131号 判決
所論は一定の価格以上又は以下に入札することの協定をなさず競買の入札行為に出なかつた場合は刑法第九十六条の三第二項後段の談合罪が成立しないものと解せられるところ、被告人は競買申出を抛棄したにすぎず、競買の入札行為をしていないから同条の談合罪を構成しないものであると主張する。併し乍ら同項後段の談合罪は其の立法精神に照し苟くも不正の利益を得る目的を以て或る特定の者を競落人となし、其の者をして公正な自由競争によつて形成されたであろう価格よりも(所有者にとつて)不利益な価格により競落せしめることを協定することにより成立するものと解すべく、必ずしも右協定者が全員競買入札をなすことを要するものではなく、右協定により競落人と定められた者以外の者が競買申立を抛棄する場合も亦同条の談合罪を構成するものと解するを相当とする。所論援用の諸判例は談合罪の種々なる態様につき具体的に説示したるに止まり、本件とは事案を異にするから本件に適切ではない。
(裁判長判事 山田義盛 判事 沢田哲夫 判事 辻三雄)